仏遺教経


三、遠離の功徳


 あなた方僧侶方よ、静寂で損得を忘れた世界の安らぎを求めたいと思うなら、乱れてうるさいところを離れて一人居に静かに暮らすべきです。静かなところの人は、インドラ神(帝釈天)等天の神々がともどもに尊重するところです。それゆえに自分の仲間や人々を離れて、静かなところに一人居して、苦悩を消滅させる根本を思うべきです。もしも人の群れにいたい人は大勢のために起こる悩みを受けます。たとえば、大きな樹に多くの鳥が集まると、枯れて折れる心配があるようなものです。俗世間の束縛と執着は大勢から起こる苦悩に埋没するのです。たとえば年老いた像が、泥沼に足をとられておぼれ、自分の力で脱出できないようなものです。これを「遠離」というのです。


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