タバコの害

リードビーター著:『チャクラ』より


 この第二の型は、喫煙常習者にも多く見られるものである。彼らは、周囲の人たちに嫌がられるのをよく承知していながら、タバコを吸わずにはいられないのである。喫煙の習慣というものは、紳士が他人に迷惑をかけることを知っていながら止められない唯一の習慣といってもよいものであるから、ここには容易に魂の悪化を認めることができるのである。この場合、繊細な感受性は、もうある程度鈍っている。しかしこの有害な習慣の力は大へん強いので、人びとは全く抵抗することができず、彼らの紳士的な本能も、狂った自己本位の悪習の中で忘れ去られている。その有害な作用は、生理的・アストラル的および心霊的身体のいずれかにおいてもはっきりしている。
 喫煙は非常に不純な粒子を生理的に浸透させ、粗悪な物質を放出させるため、嗅覚にはよく感受される。アストラル的にみると、それは不純物をもたらすだけでなく、多くのアストラル的振動を鈍らせてしまう。よくタバコが「神経を鎮める」といわれるのはこのためなのである。しかし神秘的発達のためにはアストラル的振動が鈍化しては困るし、アストラル的身体が汚れた有害な粒子によって重くなって沈下したりしては具合がわるい。われわれにはあらゆる波長の振動にすぐに答える能力が必要であり、しかも同時に、完全なコントロールができなくてはならない。そうすればわれわれの欲望は理知的な精神にみちびかれた馬のようになり、有害なタバコの悪習がわれわれの力づくでどこかへ連れ去ることはなくなる。崇高な本性は、こういう悪習など決して見出されない状態を知っていて、われわれをそこへみちびいてゆく。喫煙の影響は、死後にもきわめてみじめな結果を残す。それはアストラル的身体の一種の硬直と麻痺を生じ、このために長い間(数週間から数ヶ月に及ぶ)、人は牢獄に閉じ込められたような閉鎖状況におちいり、無気力で、ほとんど意識がなく、親しい人たちと交流することもできず、しばらくは高い次元の力を感受することもできない。ささいな悪習のためにこれ程の罰を受けるのは、大へんな損失であるというべきではないか。自己の身体の各次元のあり方を発達させて、チャクラを目覚めさせ、神聖な道に従って進歩していこうと真に考える人にとっては、タバコは疑いなく悪いものであって、つよく拒否すべきである。
 上下の存在領域の間を出入りする流れは、先に言ったように、何段階もの原子状の階位を通じて行われる。ところがさきにのべたような硬直化が起こると、それはまわりの原始的物質ばかりでなく、隣接した第二層・第三層の物質にまで及んでゆく。そこでアストラル的次元とエーテル的次元の交流に対しては、好ましくない影響が作用している低次の層から力がはたらいてきて、その有害な振動の力に無理矢理反応させられてしまうのである。