接近と離反

ベザント博士:『意識についての研究』


 愛のすべての表現形態は、共通・自己犠牲・与えようとする欲求によって特徴付けられる。これらは、「慈悲」であれ、「助け合う欲求」であれ、「崇拝」であれ、愛には不可欠の要素として認められる。これらすべては直接に親和力をはたらかせ、結びつきをもたらすものであって、愛の本性を成している。したがって、愛とは精神(霊)である。共感とは、他者の感情を自分のことのように感じることである。自己犠牲とは、他者の欲求することを自分のことと認めることである。そして他者に与えることは、霊的な生活の条件である。したがって愛とは霊的なものであり、宇宙の生命的側面に属していることが認められる。
 これに対して憎しみは、そのすべての表現形態において、嫌悪・自己拡大・奪わんとする欲求によって特徴づけられる。これらは「軽蔑」であれ「傷つけあう欲求」であれ「恐怖」であれ、憎しみに不可欠の要素である。これらすべてはお互いを引き離し「拒否」のはたらきに力を与える。したがって「憎しみ」とは(愛が霊的であるのに対して)物的なものであり、多元化と差別に力点をおくものであって、離反を本質とし、宇宙の形態的側面に属しているのである。